『パンッ』 その音と同時に、横に押された俺の体。 少しぐらついて、何が起きたのか理解するのに時間がかかった。 つまらなくて、泣けも笑えもしない三流の恋愛映画のワンシーンのようだった。 自分をかばって好きなヤツが撃たれるなんて、そんなの映画の中だけで充分じゃないか。 なのにどうして、俺の目の前でカオリは倒れている? 真っ赤な色に、染められて。