好きなオンナ一人守れないなんて、オチコボレもいいところだ。 そうだ、俺の手柄ひとつ。 取り立てひとつをこの人に渡せばいいだけなんだ。安い。それでカオリは大丈夫なんだから。 …仲間。俺の当時の上司。 俺は初めて『裏切り』というものを体験して、きっと頭がオカシクなっていたんだろう。 こんなオカシイことをしている奴の言葉を、信じるなんて。いや、信じたかっただけかもしれない。 『この人はこんなことする人じゃない』って、信じたかっただけなのかもしれない。