腕時計はしていないので、時計を確認することは諦めていた。 …とりあえず、仕事に間に合えばいいんだけど…。 ていうか、仕事行けるのかな? 『14階です』 エレベーターの機械的な音声で、はっと意識を引き戻した。 エレベーターのドアが開き、彼に引かれて歩き出す。 どうやらこの階はワンルームしかないらしく、ドアはひとつしかなかった。 カードキーと指紋認証のドア。 …見るからに、普通のマンションの玄関じゃないですね。 ずいぶんセキュリティーが……。