亘の言葉を聞いて悠介はゾッとした。彼はもう向こう側へ行ってしまったのか。
 悠介が茫然自失していると、また誰かが入ってきた。詩織と、詩織が連れてきた作家だった。例の小説の作者だ。
 詩織は亘と悠介の異様な様子に驚いたが、すぐに気を取り直し言った。
「亘!その小説の作者を連れてきたわよ。あなたが追い求めていた少女は彼の頭の中で作られた空想なの!」