魔法のことば

 やってきたお父さんはお母さんの顔の涙の跡に気が付いた。

『泣いてたのかい?』

 冗談めかしてまさおの頭を軽くこづく。

『お母さんを泣かせて、まさおは悪い子だな』

『私の場合はまさおのプレゼントが嬉しすぎて泣いてしまうのであって、まさおは非常にいい子です』

『そんな嬉しいプレゼントならお父さんにも欲しいものだな』

『全く同じのは無理。私はまさおがプレゼントと一緒にくれることばに感動して泣いてしまうんだから』

『ことば? お父さんにもくれよ』

『まさお、言わなくていいわよ。ぜっーたい無理! 意味が合わなくなるもの』