魔法のことば

 そして、そのお客様がやってきた。

『お父さん!』

 2年前に別れてから会っていなかったお父さんの顔は苦労の皺をいくぶん余計に刻んでいた。

 お父さんは正座をすると頭を下げた。

『恭子、会わせる顔がないがふがいない元夫を拒否しないで会ってくれてありがとう。まさお、お父さんがいないつらい思いをさせてごめんな』

『もっと早く帰ってきてほしかったわ』