「こっちです」
僕はデーダを元来た橋を渡りデーダを案内した。
チラッとデーダを見たが、何も怪しんでいる様子はなく、むしろ鼻歌まで歌っている。
リズムも音程も雑なハミングが僕の耳に入ってくる。
「……」
そんな変な鼻歌を聞きながらも僕は耐えた。
しばらく進むと、路地の方へ曲がった。暗がりで、人の姿は一気になくなる。
そんな道を進んでいると、デーダが「おい、大丈夫なんだろうな」と不機嫌そうに聞いてきた。
さすがのこいつでも少しは怪しい事ぐらい気づくだろうな。
「大丈夫ですよ」
そんなデーダに、僕は適当に返事をしておいた。



