「ええ」
尚もにっこりと笑う僕を完全に信用してしまったデーダは「よし」と一言呟くとパン屋へ急ごうと足を進めた。
やばい!
「あの!」
必死に止めようと声をかけた。
デーダはゆっくりと振り返ると「何だ?」と不機嫌そうに聞いてきた。
「そのパン屋がどこにあるか知ってますか?」
うーんとうなだれながらデーダは考えるとポンと手をおいた。
「そうか、俺はライズなんかに行く事はあんまねぇから知らねぇや。肝心な事を忘れてたぜ」
ほんとバカな奴だな。
こんな奴が仲間のキアラがなんだか可哀想になってきた。
一瞬呆れた顔をしてしまったが、眼鏡をかけてるから分からない。
「じゃあ私が案内しますよ」
「ほんとか!」
デーダはすぐに飛びついてきた。
「はい。じゃあ案内しますね」
可愛らしく微笑むと僕はデーダの前に立って歩き出した。
ここまでは計画通りだ。



