女王様はメイド様?!①【完】

「怖いなら怖いって言えよ…」


「別に怖く…ない…」


翔の胸に顔をうずめながら言っても
説得力はまるでない。


「ホントに怖くなんかない…」


「はいはい。わーったよ」


翔は半ば呆れながらあたしを両腕で包み込んだ。


翔の胸はとても温かかった。


「怖くないんだから…」


「そーだな」


そういいながらあたしの頭を優しく撫でてくれる。

小さい子供をあやすように…

窓の外はまだ小さくゴロゴロと雷の音がする。


今は翔の胸の中に居て暗さも雷も不思議と
怖さを感じなかった。


「なー…今日泊まっていけよ」


「………。」


うーん…どうしよう。


翔のうちに泊まるのってすっごく抵抗ある。

だって絶対なんかされそうだし。


でも今はそれより雷の怖さのほうが勝っていた。

それにあたしを抱きしめてくれる翔の胸が
温かかったから…


「うん…」


そうしてあたしは翔の家に泊まることにした。

電話は停電の影響で使えなかったから携帯で
お母さんに電話した。

「もしもし…今日、唯ん家に泊まる…
うん…まぁ…バイバイ。」


そういって電話を切った。


「嘘ついたんだ」

「あたりまえ。だって男の家にとまります
なんて言えない…」


「ま、っそうだな。」


ほんとは泊まるなんて絶対に拒否ってたけど
でも怖くて帰れないから…