「もう大丈夫だから」
はぁ。と短くため息をついて子供をあやすように
あたしの頭を優しく撫でた。
「ホントにっ?ぅぐっ」
涙が次から次へと流れてくる。
「あぁ」
「黒いマントも?」
「…あぁ。」
「あたしたち助かったの?」
「あぁ」
ようやくその言葉にあたしは翔から体を離した。
はぁ。本当に死ぬかと思った…
なんかあの世が一瞬見えた気がしたし…
「とりあえず病院いくか」
やっと泣き止んだあたしに向かって言った。
「なんで?」
なんで病院?どこも怪我してないよ?
殺されると思ったけどなにもされなかったし
何処も異常ないし…
翔はなぜか涼しい顔をしていた。
なんで?
さっきあんな怖い思いしたのに翔は怖くなかったの?


