「ぬぅ!」

姫羅木さんの頭頂部に、一対の狐の耳が飛び出した。

同時に彼女のキュートなヒップからは、四本のフサフサした尻尾が伸びてくる。

これが姫羅木さんの真の正体。

彼女は千年の時を経て、大妖怪・九尾の狐をも上回る神通力を身につけた善狐、『天狐』なのだ。

その四本の白い尻尾を以って、姫羅木さんは降り注ぐ稲妻をはねのける!

雷を弾くという物理的に不可能な事を事も無げにやってしまう辺り、流石は天下の狐霊だ。

「ひ、姫羅木さん…」

思わず声を震わす俺に。

「千春、あれを見ぃ」

彼女は険しい表情で上空を見上げた。