窓ガラスに映る自分の顔が不意に目に入る。


派手な茶髪が嫌になるくらい似合う顔。


今まで抱いてきた女が喜んだ俺の顔に、本当に好きな女を喜ばせる要素は無い。




「善雅どこ行くんだ?」


「日菜琉のとこ」



向かい合った男にペコッとお辞儀して、日菜琉が踵を返したのと同時に裏庭を目指す。



そんな俺に呆れたみたく笑った紘也が、



「じゃあ、邪魔が入らないように相沢さんの足止めしとくよ」



にっと笑い直して手を振った。



なんか嬉しそうに見えたのは……気のせいか?




そんなことを片隅に思いながら、真っ直ぐに向かった先。



「善雅く……わっ」



裏庭の端ででぼんやりしてた腕を掴み、ギュッと引き寄せた。



それなり真っ赤になった日菜琉が胸元から上目に俺を見上げてる。



それが堪らなく可愛い……完全に色ボケな俺。



柔らかい日菜琉の感触と甘い髪の匂いに、数え切れないくらいときめいてる。