走り去っていく日菜琉を不思議そうに見つめる秋奈からマフラーを取り上げる。



「あっ、先輩」


「人の彼女に偉そうに評価付けてんじゃねぇよ、何様だクソガキっ」



睨みつける俺をキョトンとした顔で見てる秋奈が、ムッと唇を尖らせる。



「なによっ! 顔に物言わせて女遊びしてた癖に、今更本気の恋なんて無理に決まってんじゃない!」




結局そうやって。
女遊びしてたって表面上の出来事でしか判断しようとしない。



けど日菜琉は一度だってそれをしようとはしなかった。



目の前で切り捨てて、静葉を選んだ俺さえも責めなかった。



”これでもう善雅くんは、善雅くんの好きな人とだけ愛し合えるね”



散々傷付けて来た俺にこう言って日菜琉が笑ってくれたから……。

俺は救われた。

日菜琉に惹かれたんだ。



……釣り合わないなんて、俺が言われるべきセリフだ。



ゴチャゴチャと喚いてる秋奈に背中を向け、マフラーを握り締めて日菜琉の後を追い掛けた。