だから、


「ひ、日菜琉っ」


「……善雅くんに触って欲しいの」


善雅くんの右手を取って、そっと自分の胸に宛がった。


驚いて手を離そうとする善雅くんの手をギュッと押さえ続ける。


善雅くんの困ったような声が何度もわたしの名前を呼んで、また瞳がジワッと熱くなっていった。


「日菜、落ち着け」


「ちゃんとわたしのこと貰ってくれるっ?」


「当たり前だろ」


「また泣いても、触れてくれる?」


「触れるよ」


「何回泣いても?」


「何回も触れるから」


だから俺から離れるな。


そう言って額にキスをくれた途端にまた涙が溢れ出した。


善雅くんの優しさがおデコからジンジンと全身に染み込んでいく。


わたしだって善雅くんにしか触れられたくない。


だからちょっとずつ善雅くんの体を受け入れられるように頑張ろう。


涙を拭ってくれる善雅くんの手を握り締めながら、わたしは一人胸に誓いを立てていた。