「ご、ごめんなさい!」


「いや、こっちこそ……」


慌てて顔を離して見上げた彼の手が、支えてくれていたわたしの体からゆっくりと離れていく。


気まずいような気恥ずかしいような、なんだか落ち着かないわたしに小さく笑いかけ、


「これ、やるわ」


「えっ……?」


「ぶつかったせいで赤くなってるから」


手に持っていた紙パックのジュースをおでこに当てて来た。


受け取ったそのジュースはわたしが好きなオレンジとパイナップルのジュースで。


去り際に見た善雅くんの顔が不意に頭を過ぎって、本来の目的を思い出した。


ありがとうって告げて善雅くんの教室に向かおうとした時、


「……余計な世話だけどさ」


「うんっ?」


「場所はわきまえろって彼氏に言っといた方がイイぞ」


「え……えぇっ!?」


耳元でボソリと言われた忠告に思わず心臓がドキンッと跳ねた。