像を売っていた男は空を指さした。

 「うーん?何だ?あっ!」

 「雲がー」

 「1,2,3,4,5,6,7...」

 「0が7つですね」

 「あー、50,000,000だな!」

 「さっきまでは、
たしかに、50,000だったんだよ。
 久しぶりにそこまで安い数字になったのに、
あんたたらのせいで...」

 像を売っていた男はあきらめたように呟く。

 「そう見えるだけじゃないのか?」

 「もーう、あんたは疫病神だから、
どこっかに行ってくれよ」

 「八つ当たりかよ!」

 「もういい!俺が帰るよ」

 像を売っていた男は
そう言って大事そうに像を汚らしい鞄に入れ、
座っていたシートをしまうとどこかへ行ってしまった。

 「何だよ、あの野郎!」

 「あんたたち、バカだな!
 5万であの像が手に入ったのに」

 後から来た男は苦笑いしながら、
そう言った。