「さあ、どうだい!

 ハッピーな像。

 触るだけで、ハッピーエンド!」

 「終わってどうすんだ!」

 「あんた、賢いなあ!

 間違えた。

 触るだけで、ハッピーバースディ!」

 「歳とるだけじゃねえか!」

 「いや、毎日が誕生日みたいなもんって奴さあ。
 どーう?」

 「インチキくせえなあ」

 「ダメか?」

 「それに、
 売ってるあんたが貧乏たらしいんだよ!
 いいか!
 第一、
 そんなハッピーな像を何で他人に売るんだい?
 俺は騙されねえよ!
 どうせインチキなモン売るなら、
もっとマシなの売れよ!」

 「いやー、実はねえ。
 ただで触ってハッピーになれるじゃないんだな。
 この像。
 ちょっと訳ありなんだよ」

 「そうやって騙そうっても無理無理」

 「あんたカミサン知ってるか?」

 「おい、バカにすんなよ。
 俺はこう見えても、3人もガキがいんの!」 

 「違うって!
 かみさんじゃなく、カミサン!」

 「あー、神様?」

 「うーん、
 カミサンは意外に知られてないんだなあ」

 「もういいって!
 騙そうたって、無理!
 諦めなって」