ほんのり広がる甘い玉子焼きの味。
自分で作っといてなんだけど、やっぱり美味しいものを食べると幸せな気持ちになれる。
「俺も玉子焼き食べよーっと」
そう言って、彼もまた口に玉子焼きを運ぶ。
「ん、美味い」
料理には自信はあるけど、やっぱり人に食べてもらうのって緊張するから、その言葉を聞いてほっとする。
「でも、」
「え!?あ、もしかして甘すぎましたかっ?すいません!!!」
バカバカ!と、自分を責めるわたしに彼は違う違うと、首を振る。
そして、こう付け加えた。
「みいが食べさせてくれたら、もっと美味しくなるのにな、って」
ボン!!
彼の悩殺スマイルと、紡がれた甘い言葉にわたしの頭は爆発した。
「せ、せんせい!!な、何をおっしゃるですかっ」
「いや、だってつい願望が、ね」
それにしても、焦ってるみいも可愛いよ、なんて思ってもないことをよくもまあ、口からほいほいと……、
「ねえ、やってみようか?」
「へ!?」
ふと、彼に再度目を向け直すと、彼は目を閉じて唇を指差していた。


