「ただいま。みい」
そう言って入ってきた彼は、仕事着を脱ぎ、マスクも外す。
すると、今度は甘いマスクが現れる。
思わずくらっとしそうになっていると、いきなり両方を包まれて、強い力で振り向かせられた。
「………!!」
目の前の彼との距離は、鼻と鼻がくっつきそうなくらい。
「みい?」
「は、はい…」
「"ただいま"って、言ったらどうするんだっけ?」
至近距離で微笑み掛けられる。
し、昇天しちゃうよ…!!
それでも、わたしは何とか意識を持ち直して、震える唇で言葉を紡いだ。
「おかえり、なさい」
「ん、上出来」
頭をいい子いい子と撫でた彼は、ようやく離れていく。
わたしもそこでやっと、安堵のため息をついた。
もう!!
…ほんと、心臓がばくばくしすぎて、破裂するかと思った……。


