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「失礼しますっ」
重たい扉を開けると、そこは彼のプライベートルーム。
といっても存じ上げる通り、忙しい日々を送る彼にとって、ここに居られるのはこのお昼休みくらいなもの。
生活感がないのは当然。
高そうな置物や、カーテンや絨毯まで無機質に思えてしまう。
彼はまだ診療を終えてないらしい。
たまにこういうことはある。
だけど、何だか未だに彼がいないこの部屋には慣れない。
何だか息苦しいし、彼が前にハワイか何処かのお土産だと言ってた置物は不気味で怖いし………
やだ。
早く、早く来てよぉ…。
彼に頼まれて作った2人分のお弁当が入った鞄。
わたしはそれを抱き締めて、顔を埋めた。
その時だった。
ガチャリ、と光が差し込んできたのは。


