ラビットクリニック


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「ごちそうさま。美味しかった」

今日は3時で上がりだった。

帰る手前にこっそりお弁当箱を回収にきたわたしだけど、先生も偶然に休憩時間だったらしい。


先生に似合いそうだな、と思って選んだお弁当箱は先生の手の中に納まり、輝きを放っている。

まさか、いると思っていなかったから心の準備が間に合わなくて、わたしは受け取ったお弁当箱を落としそうになるという、またまたしょうもないところを見られてしまった。


「みいはほんと、おっちょこちょいだね」

ほら、先生だって呆れてる。


わたしだって先生に釣り合うような、大人な女性になりたい。


「まあ、そんなとこも可愛いんだけど」

「こんな年になって、恥ずかしいばかりですよ…」

先生のフォローも自己嫌悪の所為で、素直に受け取れない。



「何、ふくれてんの。ははっ」

「わ、笑うとこですかっ」

こっちは真剣に悩んでるのになあ…。




「あ、そうだ。みい」

「はい?」

先生だって折角の休憩なわけだし、そろそろお暇(いとま)しようと踵を返すと、案の定呼び止められる。