花火大会の帰り道。 何も気づいていない美紀は上機嫌に俺の前を歩く。 「楽しかったね!」 「だな。たまにはいいな、こういうのも」 「ちょっとだけドキドキしたけどね。バレるんじゃないかって」 「大丈夫だよ、俺は存在感ないから。俊とは違って」 「まあ 俊介くんは目立つもんね? とはいえ、日本を代表するバンドのギタリストなんだから気をつけなきゃね!」 無邪気に笑う美紀。 さっきの俺の心の内なんて何も知らないままー。 「…美紀のおかげだな」