君が必要とする限り



先生の体が硬直するのがわかった。


見上げると、そこには予想していたのとは違う表情があった。


もっと、
オドオドしてると思ったのに。


もっと、
困ってると、思ったのに……


川崎先生は、真剣な眼差しで、
真っ直ぐに私を見つめてた。


『息を呑む』


それって、こういう時のことを言うのかな?


いつもの穏やかさは無くて、
ふわふわした、オーラは無くて、


男らしくて、鋭い眼差し。
形の良い、目鼻立ち。
気付かなかった。
先生の瞳は、茶色なんだ。


見惚れている間に、
私たちの距離が近づく。



それは先生が近づいたからか、
私が近づいたからか、
それは、きっと両方あてはまる。

こんなの、初めて。


胸がドキドキして、
体が、震える。


先生が私の頬にそっと触れる。


…先生って、こんなに格好よかったっけ?



そう思った瞬間、
私たちの唇が、触れた。