君が必要とする限り



笹木さんが心配そうに顔を覗き込む。


「すみません。大丈夫です。」


「ほんとですか〜?
患者さんが待合室でお待ちですよ。
大野亜矢子さんていう、美人さんが。」


大野…亜矢子。


そうだ。
今日もカウンセリングの日だった。


「ありがとうございます。」


俺は慌てて腰を上げると、


「ねぇ、先生。」
俺の肩ほどの身長の笹木さんが
見上げながら言った。


「なんだかね…私嫌な予感がするのよ。


あの子…普通の患者さんじゃ無いような…
あ、別にね、妬みとかじゃないのよ!」


嫌な予感…か…。


「ご心配ありがとうございます。どんな人であれ、僕は困っている人の手助けになりたいんです。
どんな理由であっても。」


「もうっ、川崎先生は本当に優しいんだから〜。」


バシッと俺の背中を叩くと
川崎さんは奥の部屋へと消えた。


いやいや、なかなか痛いな。