君が必要とする限り



「だけど、君を人殺しには、これ以上1人には、したくないんだ。」


銃を握り締める手に、
自分の手を重ねる。


「君の人間らしさを…これ以上、無くしたくないんだ…」


震える声を隠すように、
彼女を後ろから強く抱き締める。


人間は、
1人じゃ生きられない。


どんなに強がっても、
大丈夫だと呟いても、


瞳を閉じれば、
たちまち闇が舞い降りる。


その闇は心、体までもを蝕み
全てを傷つける。


愛されたい一心で生きる人間は、寂しさに触れれば一段と弱くなる。


灯りを探して彷徨えば、
見えるのは絶望と苦しみで、
さらに傷付けるから


1人で生きようなんて、
決めないで。


1人で大丈夫なんて、
誓わないで。


流した涙は、
強く抱き締めるから。


震える体は、
暖かい指先で包み込むから。


1人ぼっちだなんて、
言わないで。