君が必要とする限り



振り返らずに声のほうにそっと耳を寄せる。


私が振り向くよりも早く、


「隆太……」
院長が震える唇でそう呟いた。


――川崎先生……


「銃を、降ろして。」


冷たい床に、
先生の足音が響く。


コツコツ、と
私に近づく。


「…君の、今まで抱えてきた過去を、知った。
全てではないけれど、知ったんだ。」


柔らかくて、心地の良い声がする。


「…辛かったろう。ごめんな…」

声が、先生の声が、
耳のすぐ裏で聞こえる。


「君の未来を…大切な、家族を、俺には埋められない。


だけど、