君が必要とする限り



その音に、2人が振り返る。


驚いて見開かれた、瞳。
情けないくらい、開かれた瞳。



「…お前は…っ


「おはようございます。院長。」


あざけ笑うように言い捨て、
銃を真っ直ぐと院長に向けた。


「な、何をしてる!
銃を放せ!」


「人殺しのあんたに、言われたくない。」


「やっぱりお前は…大野学の…


「そうだよ。ずっと待ってた、この時を。
お父さんの仇を討つために、ずっと待ってた。
あんたは………


私を孤独の闇に引きずり込んだんだよ?」





銃を突き付ける。
隣の看護師が逃げたしそうになり、
「責任逃れするつもり?」


窓ガラスに銃を放ち、
物凄い音で、割れる。


あまりの恐ろしさに、気を失った。


くだらない。
今までの罪のほうが、どんなに恐ろしいものか。



「…院長、なんで私のお父さんを殺したんですか?」


「そ、それは……


「あなたがした罪は、そうとう深い。」


「金なら、金ならいくらでも払う。だから、だから許してくれ…」


――金、だと?


「馬鹿にすんな!!私が失ったのは金じゃない、家族なんだよ?!」



そう怒鳴ったとき、









「亜矢子!」




私を呼ぶ、愛しい声がした。