君が必要とする限り



――見つけた。
出勤時間はいつも通り。


でも今日は隣に、
あの愛人の看護師がいる。


笑いながら話す2人。
川崎先生の奥さんは、
この光景をどう思うんだろう。


こんなヤツ、世の中に必要ない。


でもそんな幸せも、今日で終わり。
残念だったね、院長。




ゆっくりと歩み寄り、
病院に入った2人の背中を睨む。

この早い時間、患者はここにはいない。
入院患者も、まだ眠りの中だろう。



――とうとう、この日がきた。


真っ黒のケースに入れていた、
お守り。
私の、銃。
浩樹から貰ったこれは、
私が恨みを忘れない証。



院長の手が看護師の肩に触れたとき、




――バァンッ…!!



渇いた銃声が響いた。