君が必要とする限り



気付いたら寝ていた。


服や髪は乱れ、
やっと我に返って一番はじめに
目に入ったのは、


左手に握られていた、合鍵。


込められた力は強く、
まるで彼女を抱き締めているようだった。


ぼーっとしてはいられない。


シャワーを浴びようと
眠たい目を擦り、立ち上がる。


何気なく携帯を開くと着信が入っていた。


現在、朝の4時28分。


着信時間は、3時50分。


大野亜矢子からだった。


一気に目が覚めて、
電話をかけ直す。


微かに指が震えた。








しかし、繋がらなかった。


虚しいアナウンスが響くだけ。
嫌な予感が頭を過り、
慌ててシャワーを浴びて
家を出た。


向かう先はただ一つ。



彼女の家だ。