そう、この日オレはそこに行くべきではなかった。



もしも、過去に戻れるのなら
オレはその頃の自分を、

「いくな。」

と引き止めたい。




オレは、そこで一人の女に会った。


「あ、もしかしてこの子が仁の言うてた子?」



オレ達意外に10人くらいいる。


みんな、悪そうな顔つきをしている。



「あぁ。」


仁は、何も気にせず答える。




その女は、「そんなんか。」

と言って、10人ぐらいの輪の中に戻っていった。



オレの気のせいだろうか。


少し、目が合った気がする。




「あ、アイツ玲っていうの。オレのイトコの元カノ。」


「へ~。」


玲っていうのか。


「大阪の奴だから、関西弁なんだよ。」


仁が説明してくれる。

しかし、オレの視線は彼女に釘付け。


耳には、何も入らず
目は彼女だけを追っていた。



玲は、オレ達よりも2つ年上だった。


だが、オレにはそんなの関係なかった。


もう、一目見た時からオレは玲にぞっこんだった。




仁のイトコ達が集まる時は、必ず行き
玲と話す幸せを感じていた。


そして、仁にもその気持ちはバレた。


まぁ、隠す気はあまりなかった。


彼女にバレなければいいと思っていた。