「いたっ!聖ヒドイ。
何すんのー」
重い頭を上げて聖を見れば、口を尖らせて如何にも不満!っと腕を組んだ。
「だってカッコイイ男子の幼なじみ兼恋人なんて、女子の夢でしょ!
蒼が馬鹿にするからいけないの!」
「いや、馬鹿にはしてないけど…」
「けど何よ?
やっぱ馬鹿にしてるじゃん!」
キーキーギャンギャン騒ぎだした聖は、私でも手はつけられない。
これは収まるまで待つしかないだろう。
私は適当に相槌を打ちながら、次の授業の準備を始める。
あ、次は数学だ。
やだなー。
授業つまんないし、あの先生わかりずらいんだよね。
「…それに青い目のクォーターだよ?!
もう文句なしじゃん!!」
聞こえてきた声に、思わず手が止まる。
私の大嫌いな言葉。
聖もしまった、というようにピタリと喋るのをやめた。
「一つ聞いていい?」
「…はい。」
「私が"あお"が大っ嫌いなの、知ってるよね?」
「…はい。」
今度は隣でバホッ、と聖が豪快に机に突っ伏した。
緊張した、だの焦ったー、だのぼやいてる。
そんなに焦るなら言わなければいいだけなのに、聖はどうやらそれができない性格ということはここ数ヶ月でよく知っている。
良く言えば素直、悪くいえばおバカ。
まぁその素直さに惹かれて、いつのまにか親友にまでなったわけなのだけれど。
「あっ!」
聖がまた声を上げる。
まだしゃべる事があるらしい。
でも今度はさっきと少し違う黄色い声。
「噂をすればなんとやらってね。」
