そう呼ばれ振り返ると目の前にずいっとミルクパンが差し出された。

視線を上げると少し眉を寄せた、晴貴の兄で私の兄の大親友

原.悠也
"はら.ゆうや"

と目があった。


「時間が無くても、これだけは食べなさい。」


あ、子供扱い。

この人はいつも私を子供扱いする。
たった二つしか歳は違わないし、広彰は子供扱いしないのに。

それに"あーちゃん"なんて子供っぽい呼び方。

何回たのんでも変えてくれないし。

何となく腹がたったけど、今はそれどころではないのでとりあえずパンは食べる。
でもお礼は言わない。
何となく悔しいから。

モグモグと口を動かしながら再び部屋に向かうと玄関から声がした。



「「「いってきます」」」



あーもう勝手にして。
私は今度こそ一人部屋に戻った。