沖田と離れ、私は高杉のもとへと帰った。

「・・・ただいま戻った」

「ずいぶん今日は出かけてたんだな」

「・・・やっかいな男につかまった」

「へぇ、おまえも女に扱われたか」

「そんな意味じゃない。沖田と言う男だった」

「へぇ、あいつも見る目がねぇな」

「なぜだ?」

「そんな焦るな。
 
 沖田が女の趣味が悪いっていう意味じゃねーよ」

「別に焦ってなど・・・」

「焦ってるぜ?

 まあ、ほかの男に話しかけられたってだけで俺は少し虫の居所が悪いんだがな」

「はあ・・・。

 それで、本当の意味は?」

「鬼兵隊の女をやすやす逃がすからな」

「真選組とは強いのか?」

「そうでもねぇ。ただの浪士の集まりだ」

「それじゃ、鬼兵隊とあんまり変らないのか」

「あぁ。だがこっちには紅桜や俺、また子、万斉、武市、岡田・・・。

 そこそこに腕が立つ」

「・・・」

自分の名前が挙がっていて紅桜は心の中で嬉しがっていた。

必要とされている。

使われている。

それがすごくうれしかったのだ。

「紅桜に今日、言おうと思ってたんだけどな、

 おまえ真選組に潜入して真選組を潰してこい」

「・・・真選組を潰す?」

「あぁ、俺達が暴れようとするとあの幕府の犬どもが邪魔をする。

 紅桜、お前ひとりだったら真選組ひとつ潰すことぐらい余裕じゃねーのか?」

「・・・あぁ。余裕だ」

「すでに真選組に伊藤という男が潜入してあいつらの情報を教えに来る」

「伊藤・・・」

「あぁ。あいつは情報役だ。おまえは潰し役だ。いいか?」