渉とは席が前後になるまで
話したことがなく、希はいつも
遠い存在の人だと思っていた。
でも渉とは話が弾んですぐに、
打ち解け合えた。
逆に渉は近い存在になってきた。
渉と話していると、いやなことも
忘れられる。学校が楽しくなる。
希は気がつくと、渉のことばかり
考えていた。 渉が好き。
希はこの時初めて、
自分の気持ちに気づいた。
それからの日々は渉に会うのが当然。
話して遊ぶことが当然だった。
毎日が夢のような時間だった。
…でも希にはライバルがいた。