「あ、ごめん、なに?」


どうやら考えすぎて黙ってしまっていたらしい。

サヤの声でハッとなる。


『せっかく部として機能しはじめてきて、依頼も増えてきたよね? 学校側だって活動を認めてくれたし、5人集まったら正式に部にしてくれるじゃん』

「うん」

『でもさぁ・・・・。先輩が1人で作った部を廃部にさせたくないからって、それでチカが我慢することないと思うよ?』

「・・・・サヤ」

『だってさ、思い出したくないかもしれないけど、あの“廃部”とは意味が全然違うじゃん。我慢しすぎてチカ、どうにかなっちゃいそうだよ・・・・』

「・・・・」


そうなんだ。

あたしが今一番に嫌だと思うことは、あたしのせいでコクレン部を廃部にさせてしまうんじゃないかということ。

あたしが恋をしたばかりに。

部員同士の恋愛について部則がないのは、やっぱり先輩が想定していないだけだと思う。


もうこの際だからぶっちゃけてしまうと、あたしは先輩が好き。

どう考えても好きで、だから今、依頼人相手にやきもちばっかり妬いている。