そうなのだ。
この先輩───高瀬康介先輩は、さっきからあたしのことを“ちぃーちゃん、ちぃーちゃん”と馴れ馴れしく呼んでくる。
仲良くなった覚えもないというのに、ホントいい加減な人だ。
「だってさ〜、これから一緒に活動すんのに吉岡サンはないでしょう。親しみを込めたいのサ」
「そんなのいりません」
「またまたァー」
・・・・なんだってのよ。
さっき玄関で騒いでしまったお詫びに、仕方なく先輩の話を聞くことにはなったけど。
もう一緒に活動するつもりでいるなんて、なんておめでたい頭をしているんだ。
あたしは話を聞くだけ。
どんな活動をするのかは知らないけど、それを聞いたらお断りして帰るっていうのに。
よっしーがいいかな?
それともおっきー?
なんて言って、頼んでもいない新しいあだ名を考える先輩を横目にあたしは長いため息をついた。
けれど、その直後・・・・。
「アァァーッ!!」
いきなり叫び出す先輩。
ななな、何事!?
条件反射で体がビクつく。