七月の空~彼女がリスカをする理由~

旧校舎と一緒に美術部が なくなっちゃう前に、何かを残しておきたい。


せめて、秋のコンクールで入賞したい。

そうすれば、確かにこの学校に美術部があって、わたしという部員がいたんだっていうことが残せる。


そう思ったのに。

だけど、『死』というものを考えはじめてから、何も書けなくなった。

なにも、浮かんでこない。

スケッチブックに向かっても、何もイメージが浮かばない。

どうしよう。

そろそろ題材を決めないと、コンクールに間に合わない。

ただでさえ、絵を仕上げるのに時間がかかる私なのに。

『死』のせいで、 わたしの心は、ポッカリと大きな穴が空いている。