家に着くとその全貌に驚いた。

うちは物書であると同時に日本で十本の指にはいるほどの金持ちだ。

最近造築されたであろう立派な家は人間が軽く五十人以上は住めそうなおおきさで住むのはもちろん自分一人だ。

玄関に入ると新築らしい木の匂いが漂った。

しかしおかしい。

僕は自分の家、即ち七瀬の家が嫌いだ。

昔から才能のない僕におもちゃすら与えなかった七瀬がこんな大きな家を僕に与えるはずがなかったのだ。