しかし、どんなに優れた種族にも落ちこぼれは存在するわけで、僕はまさにそれだ。

才能の枯れ果てた出涸らし、兄にも親父にもそう言われた。

ある日じいさんが「七瀬から一人。今年は空見に行かねばならん」

僕はチャンスだと思った。(この家から逃げ出せる)

しかしそんなのは僕の思い込みで、実際は追い出されたのだ。


七瀬の家系に出涸らしは無用なのだろう。

でも逃げ出せる。
僕にはもう逃げるしかなかった。