妄想な彼女



「んで?どんなセットを作ればいいんだ?」

観月が歩み寄って台本を覗く


「それはこれから考えるっ!
誰かっ!美術関係得意な方いますー?」


円城がそう叫ぶと、周りの空気がピタッと止まった


なんだこの空気…


「先輩たちは絵とか上手いですかっ?」


俺達以外の部員(多分3年)に円城はニッコニコしながら訊く


「………」


なぜか先輩達は黙る


「なんで黙るんですかっ…?」


部員A「ごめん。美緒ちゃん…私たち絵とか無理なんだよね…」


部員Aが申し訳なさそうに呟く(名前知らない)


「そんなぁ…」

「円城が描けばいいだろ?」

「あたしは脚本&演技専門ですから!
ほら!パンダは笹を食べてライオンはしまうまを食べるじゃないですかっ!
でもパンダはしまうまを食べないし、ライオンは笹を食べない。
それと同じように脚本&演技専門は絵を描かないんですよー…」


んー…分かるような分からないようなー


「つまり描けないってことだな…」


「描けないんじゃないですっ!描かないんですっ!」


焦りながらムキになっている
強がるな。強がるな。