「えぇ…奪ってないのっ!?」

「だから奪ってねぇって!」


ほっぺにはしたけど…
ってこんなこと言えない


「なんだ。」


心底面白くなさそうに口を尖らせながら晴紀は立ち上がる


「でも、みんなは本当だと思ってるから
本当になっちゃってるんだよ。」



…は?

「だから違うって」
「いくら違うって言ってても、みんなに弁解して回るわけじゃないんだから。」


「そりゃ…そうだけど…」


「噂って怖いよ~
色々あることないこと付け足されてさぁ…」


腕を組ながら、あぁ~怖いっ!とブツブツ呟いて晴紀はじっと俺を見る


「なんだよ?」

「気をつけろって言ってるの。」



「…は?」


「円城さんとお前がキスをした。これは学園中に広まっているわけで…」


……?

首を傾げていると晴紀は、はぁ…とため息をつく


「鈍感…」



「え?」