妄想な彼女


―――


「常陸先輩っ!これ何処に置くんですかっ?」

「えっとそれは…

あっちの上手の方に置いて」


打ち合わせの紙を確認しなくても大道具、小道具の配置が頭の中に入ってるため、俺はリーダーみたいな感じになっていた


部員A「でも、常陸くんすごいよねー」


セットを配置しながら部員A(いい加減名前覚えろ)が呟いた

「え?」


なにがすごいのか全く理解出来ず俺は聞き返した

部員A「大道具も常陸くんいなかったらここまで出来なかったし」


「いやいや…俺は下書きだけでそれからは先輩達がやったし、俺がすごいわけじゃ…」

部員B「下書き“だけで”なんて言わないのっ!
芸術的才能が皆無だったのに、ここまで出来たのは本当に常陸くんのおかげっ!」



か、皆無って…

そうとう色彩感覚がありましたけど?


部員B「しかも演技も上手くなったしっ!」

あの、なんで今日はこんなに俺を褒められるんでしょー?
…そんなにすごくないのに、どっちかっていうとみんなの方がすごいと思う。


部員C「美緒ちゃんの目に狂いはなかったんだねっ!」


…………もしかして

円城はここまで分かってて?