休日の駅の前、俺はイラだっていた。

ったく、何を考えているんだか。

空を見あげると、俺の気持ちとはまるで正反対な青い空が視界に入った。

その空を見ながら、俺はもうそろそろで夏がくるんだなって思った。

「一也さん、遅いね」

その声でハッと我に返ると、美羽ちゃんが不安そうに駅の方を見つめていた。

2つに結んだ黒髪が風に揺れている。

1つに結んだ姿も、バレッタで束ねた姿もかわいいと思うけど、今日は一段とかわいいなと思った。

そんなことを思いながら俺は携帯電話を開くと、ディスプレイに視線を落とした。

約束の時間は10分を過ぎていた。

俺たちが駅にいるのは、いとこの出迎えだ。