とは言っても、何を聞けばいいのか私にもわからない。

そう思っていたら、
「キスしていい?」

真っ赤な顔で、一也さんが聞いてきた。

眼鏡の奥の瞳に、同じように真っ赤な私が映っている。

恥ずかしくて、私は目をそらすようにうつむいた。

「美羽ちゃん?」

一也さんに名前を呼ばれたと思ったら、挟み込むように両頬に両手が触れて、顔をあげられた。

目の前にいるのは、私の愛しい人。

私は、この人が好き。

そう思っていたら、一也さんの顔が近づいてきた。

つい、私は目をつぶってしまった。

同時に、唇に温かい温もりが触れる。

壊れ物を扱うような、大切な宝物に触れるような、キスだった。

そんなキスを、私たちは交わした。