試合も無事に終わり、私たちは行きつけの居酒屋で夕飯を食べていた。

「信じらんなーい!」

そう言った私に、
「ごめんって」

一也さんは何度も謝っていた。

「だって、いきなり抱きついてくるんだもん!」

「仕方ないだろ。

…嬉しかったから、つい」

最後の部分はまるで独り言だ。

そう言った一也さんの顔は、トマトみたいに真っ赤だった。

「今回の件は、許してあげる」

私は言った。

あんまり根に持ってもしょうがないからね。

「ごめん、その代わりなんだけど…デートする?」

一也さんが言った。

「デート!?」

私は大声を出して聞き返した。