行かないでと思ったのは、私の気の迷いだろうか?

「俺のとこの課長、怒ると怖いんだよね。

イケメンで仕事もできる有能課長なのにね」

ハハハッと笑いながら、若宮さんは財布からお札を出した。

「ここ、奢るから」

「えっ、あの…」

それ以上聞かないと言うように、若宮さんは去って行った。

この場にいるのは、私1人だけになった。

けど、嫌いじゃなかった。

出会ってからまだ間もない人に、私は恋に落ちた。

もしかしたら、サンタクロースがくれたプレゼントなのかな?

そんなロマンチックなことを、私は密かに思っていた。