「ちょっと買い過ぎじゃない?」

そう言った私に、
「えー、そうかな?」

一也さんはスーパーの袋を見て首を傾げた。

彼の手には2つ、私の手には1つ、あわせて3つのスーパーの袋がある。

「たかが2人分なのに、これじゃあ家族がたくさんいるみたいじゃん」

そう言った私に、
「いや、そう見えないだろ」

一也さんが笑ったので、私もつられて笑った。

「今日の夕飯、何にしよっかなー?」

そう言いながら我が家の前についた時、
「あれ?」

そう呟いて、一也さんが立ち止まった。

私もつられて立ち止まって、
「一也さん?」

一也さんの名前を呼んだ。

ある一点を見つめたまま、一也さんはポカーンと口を開けている。