「何か食べた?」

テーブルにスーパーの袋を置くと、美羽ちゃんが聞いてきた。

「何にも、薬なら飲んだけど」

そう答えた俺に、
「じゃあ、私が何か作ります。

一也さんは寝ててください」

美羽ちゃんが言った。

「いや、俺はここにいるよ。

体調もだいぶよくなってきたから」

そう言った後、俺は椅子に座った。

「でも…」

心配そうな様子の美羽ちゃんに、
「大丈夫だから」

俺は答えた。

美羽ちゃんは心配そうに俺を見た後、スーパーの袋を持ってキッチンへと入った。

俺はそんな彼女の背中を見つめた。

スーパーの袋から買ってきたものを出すと、美羽ちゃんは料理を始めた。

なれたように一定のリズムを刻む包丁の音に、家でも料理をしているんだろうなと俺は思った。