「おはよっす。どした?」
「なんでもない……」

 げんなりした顔のベリルに、起きてきたテイシンは朝の挨拶を交わした。

 そして、窓際で1人唸っているヴァラオムに目を向ける。

「どうしたんだ?」
「二日酔いだそうだ」
[頭痛い……]

「ドラゴンでも二日酔いになるんだな。んでこれは?」

 カウンターキッチンに置かれたサンドウィッチを指さす。

「朝飯だ」
「お! やったねサンキュ」

 ベリルの作ったサンドウィッチをほおばり、

「今日発つんだっけ? グレードたちには会っていかないのか?」

 討伐隊のメンバーだった癒しの民のグレードとバジル。彼らは現在、王宮の医療チームの統括をしている。

「会ってから発つつもりだ」
「そか、よろしく言っといてくれよ」

 んじゃ、近くに来た時は寄ってくれよ! テイシンはそう言って仕事に向かった。

「……」

 ベリルは床に転がっているヴァラオムを見つめる。

 病気などは魔法の回復では治らない。魔法で治せるのは毒や怪我だけなのだ。