ヴァンパイアは呆然とベリルを見つめた。

「ハ……そうだったのか」

 落胆の色を見せるヴァンパイアをベリルは一瞥し、テイシンに目だけを向ける。

「テイシン」
「なんだよ」

 剣を鞘に仕舞いながら問いかける。

「王都では何か不穏な噂は無いのだな?」
「んあ? なんも無いぜ」

 それを確認し、再びヴァンパイアに目を向けた。

「喉の渇きはどうしている」
「ああ……ペットの血で」
「ペット?」

 テイシンがいぶかしげな顔をすると、ヴァンパイアは左手の指をパチンと鳴らした。

「マリー」
「ギャオォウ」

 奥の部屋から出てきたものは……

「緑色のトカゲだ」
「グリーン・ウィルムの眷属だ」

 テイシンの言葉に呆れてベリルは説明する。